こんにちは!森林インストラクターのとくりんです。
知り合いと生薬の話をしておりまして、
- 日本で流通する生薬のほとんどは中国など外国からの輸入モノである。
- 生薬販売は取引レートがほぼ固定されている。
- 生薬としてではなく、「食品」として販売するほうが高付加価値につながりやすい。
このような情報を始めて耳にしたわけです。
なんだあ、生薬って結局中国産なのかと思ったわけですが、このSDGsな時代ですよ、脱炭素な時代ですよね、「フードマイレージ」って言葉もあるじゃないですか。
いまからでも国産化!できる生薬だってあるんじゃないの?って思ったわけですよ。
そこで、
- 元々古くから日本国内にあるもの
- 食料品としての価値も認められているもの
- 案外栽培されていないもの
- その他高付加価値化が期待できるもの
こんな条件に当てはまる生薬ってないかなあ・・って探してみると・・
いやあ、あるもんですねえ。
え、そうか、これはいいかも!って思ったものがありました。

はい!今回ご紹介する『なつめ』です。
ナツメの漢方名は「大棗」
ナツメはクロウメモドキ科の落葉高木・・です。
世界でおよそ900種あるクロウメモドキ科のなかでもナンバーワンの知名度を誇っています。
高木ってことは定義上は10m以上になる樹木を指しますので結構大きな樹木ですね。
クロウメモドキ科は熱帯・亜熱帯に多く見られる植物だそうで、でもナツメって中国とか韓国とか、日本もそうだけど結構中緯度地域にあるイメージですよねえ。
写真の葉っぱをよく観察すると葉脈の3行脈が目立ちますね。3行脈といえば、クスノキ、ニッケイ、テンダイウヤク・・あ、このあたりで本題に戻ります。
ナツメは10月頃に黄褐色の実がなります。これを蒸して天日乾燥させたものが生薬「大棗(タイソウ)」です。
大棗の効能の代表的なものをご紹介しますと、
- 強壮
- 鎮静
- 疲労倦怠改善
- 食欲不振
- 冷え性
- 不眠
こんなところがあるんだそうです。
「強壮」と「鎮静」が同居しているあたりなんだか怪しいんですけど、なんとあの楊貴妃も一日に3粒食べて美と健康を維持したのだとか!
これはやばいヤツを見つけてしまいましたね!
万葉集にもナツメを発見

ナツメは南ヨーロッパ原産、中国・西アジアへ渡って日本へは奈良時代以前にやってきたのだとか。
万葉集にもナツメの歌が残されていましたのでご紹介します。
原文: 玉掃 苅来鎌麻呂 室乃樹 與棗本 可吉将掃為
よみ: たまばはき、刈(か)り来(こ)鎌麻呂(かままろ)、むろの木と、棗(なつめ)が
現代訳:鎌麻呂よ、コウヤボウキをとって来てくれ。ムロとナツメの木の下を掃除したいねん。
こんなめっちゃくだらない日常会話が残されている万葉集ってかっこいい!
もうひとつあるそうです。
原文: 成棗 寸三二粟嗣 延田葛乃 後毛将相跡 葵花咲
よみ: 梨、棗(なつめ)、黍(きみ)に粟(あは)つぎ延(は)ふ葛(くず)の、後(のち)も逢はむと葵(あふひ)花咲く
現代語: 梨(なし)、棗(なつめ)と続くように、あなたに会いたい。葛(くず)のつるが別れてまたつながるように、またあなたに会いたい。あなたに逢う日は花咲くようにうれしい。
これは名作ですね。
これ、ちなみに梨は夏の終わりから初秋にかけて実を成らせ、そして立て続けになつめが実るんですけど、毎日毎日恋人と会っていたい!ってまあなんと美しい恋の歌なんでしょうね!
・・でなにが言いたいかというと、古来からナツメは日本人の心に深く刻み込まれたものだったといいたいわけです。
まったく余談ですが、ナツメはナツメグとはなんら関係ありません。
さて、眠たくなってきましたので続きはまた次回に!ではまた。
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